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大人の女性にもおすすめ!人気の恋愛小説♡
「恋愛中毒」角川文庫/山本文緒
これまでの恋愛では好きになり過ぎて失敗を重ねてきた主人公、美月。今回こそは気持ちを抑えようと努力しますが、やはり想いの強さに苦しさを感じるようになってしまいます。
自分と人との距離がうまく取れないことの辛さ。愛人という立場も手伝い、物語は思わぬ方向へ進んでいきます。恋愛をしているときに、自分ではコントロールできない「想い」の怖さを感じる一作です。
「あとかた」新潮文庫/千早 茜
結婚前に揺れる主人公の視点から物語が始まり、連作の形で物語は進みます。泥沼のような関係にはまってしまうときにだれもが陥る、錯覚に似たような悲しい想いが描かれています。気怠いトーンの中にも、視線にはやさしさが滲んでおり、作者の筆が冴えが感じられる佳作です。
「たった、それだけ」双葉文庫 /宮下 奈都
始まりは不倫の恋。そこに贈賄や、失踪が加わり、残された人たちの思いが連作として描かれています。逃げる男に対する妻・愛人・姉・娘の心の機微がみごとに描かれていて、あたかも情感と涙のタペストリーを見るような作品です。重たいトーンで描かれていながらも、どこかに希望を感じさせる物語は見事です。
「孤独で優しい夜」集英社文庫/唯川 恵
親友の策略によって好きな人を奪われた主人公、粧子。そして彼もまた粧子を想っていたことがわかるのです。
粧子にとって、自分のものを取り返す行為は「不倫」ではない…だとすればこの恋は?悪役は謀るほうなのか、奪うほうなのか?男と女にとっての恋がこんなにも違うものだと、冷静に見せつけてくれる一作です。
「マチネの終わりに」毎日新聞出版/平野 啓一郎
魂が惹かれあうように出会った二人。一緒になることはできないけれど、過去は変えられるのだろうか?互いを想うがゆえの策略や、運命のいたずらにすれ違いながらも、深く結ばれた絆が織りなすストーリーが魅力の作品です。
また、作中には多くの名曲や、名作が宝石のようにちりばめられています。その一つを手に取ったり、聴いたりしながら本書を味わうのもいいかもしれません。
「夜明けの街で」角川文庫/東野 圭吾
平凡で幸せな家族を襲った殺人事件。主人公の恋人、秋葉が実はその事件の容疑者という設定です。これだけならミステリーの小説にも登場しそうな設定ですが、背景にあるのはどうにもならない愛のもつれです。
主人公に感情移入できる女性読者は少ないかもしれませんが、背徳行為を憎むが故にとった秋葉の行動、そして彼女の告白。ただの不倫ストーリーでは終われない、意外な結末にも驚かされます。
「無銭優雅」 幻冬舎文庫/山田 詠美
この作品は、愛と死が実は隣り合わせであることを教えてくれます。子どものように純粋な、可愛らしい心を持った、大人の恋愛小説ともいえるでしょう。
打算のない気持ちで相手を求める姿こそが、究極の恋愛と呼べるのかもしれません。明日心中するつもりで愛し合う二人の、今この瞬間を精いっぱい生きる姿が、すがすがしくも可憐な作品です。